添削のポイント

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適切な指摘と詳細なコメントが、解答の完成度を高めます。

WIEの添削では、以下のポイントを指摘します。

A:小論文とは何かについての理解
B:全体の評価(設問・課題との整合性、志望先に適しているかどうか)
C:修辞上の誤り(誤字脱字・言い回し等、国語的な理解)
D:論理上の誤り
E:知識上の誤り
F:筆記の適否(文字の丁寧さ)・採点側/読み手への配慮


A:小論文とは何かについての理解

基本的な誤解があれば、コメントを入れます。

例:

「小論文とは何か」について、基本的な誤解があります。
小論文の書き方とは、次の通りです。1)まず課題が与えられたら…。2)次に…。3)次いで…。4)それでも字数が余ったら…。小論文とは、たったこれだけの作業です。この「書き方の筋道」を知らないと、みなさん苦労することになるのですが、ちゃんと手順を踏めばそれほど悩ましくもありませんし、時間もかかりません。


B:全体の評価

「合格圏かどうか」、「設問・課題の条件をクリアしているか」、また「志望先に適しているか」という視点から答案を検証し、コメントします。

例:

課題文をよく理解し、おおざっぱには設問の規定を守っていますから、このままでも非難関校なら、合格した可能性のある答案です。しかし、早大法学部の答案としては、残念ながら採点対象外=0点とせざるを得ません。
最大の理由は…。改善の方針は…。


C:修辞上の誤り

「誤字脱字・国語的な誤り」「言葉・表現の誤用」「不適切な表現・文章構成」について、コメントを入れます。

例:

アンケートでてる出る程度の情報を
ネズミ捕る

巧言令色剛毅木訥仁に近しaと言えるほど立派
a:「巧言令色鮮し仁」は「上手におべっかを使う人は信頼できない」を意味します。

文章を見て行くいくa
a:補助動詞、すなわち他の動詞と組み合わせて用いられる動詞の場合、ひらがなにすべきです。これは意味から見ても、「go」ではありませんから、漢字にすべきではありません。

a:段落を改める際の原則は、あくまでも「書き込んだ内容」=「書く前に頭の中で整理した視点や問い」が変わる箇所で入れる、と心得てください。無意味に改段するのは、読み手が文の論理を把握するのを妨げ、かえって有害です。改善の方針は…。


D:論理上の誤り

「小論文に必須の要素が入っているかどうか」「論証の手続きは適切か」という視点から答案を検証し、コメントします。

例:

a:原文のままですと、この言葉が何を指すのか曖昧になっています。
様々な意味に取りうることばを論作文で用いる際、必ず「これはこういう意味で使っているのであるぞ」と、読み手に説明しておかなくてはなりません。そうでないと、読んでも意味がわからないからです。これを「概念規定」と言いますが、幅広い意味を持つことばの意味を限定し、具体的に何を指しているのかを説明することは、論旨明快な小論文を書くためには必要です。

a:自説に対する論証がありません。代わりに設問とは関係ない体験談を長々と述べてしまっています。これでは、「設問を理解していない」「その結果書く事がなくなって、余計な事を書いている」と判断されてしまいます。改善の方針は…。

a:無内容の表現です。このような表現を用いるのは、読み手がどう思おうがかまわない場合ならばOKですが、論理と論証を重んじる小論文では、その具体的な内容や、その理由説明がないため、何も言っていないに等しいのです。改善の方針は…。


E:知識上の誤り

「答案に用いた知識に誤りがないか」「知識が不足していないか」という視点から答案を検証し、コメントします。

例:

a:事実関係として不正確です。アメリカは単独行動主義とはいえるかもしれませんが、イギリスなど多国籍軍に参加した国は他にもありますので、「単独」とはいえないでしょう。改善の方針は…。

a:事実認識に誤認があります。確かに「リベラリズム」については、敗戦後に導入されたと考えても、誤りとは言えません。しかし「立憲主義」は、大日本帝国憲法の成立を以て、そして「民主主義」は、普通選挙法の成立を以て導入されたと考えるべきでしょう。また、「人権」は定義が難しいですが、旧憲法が罪刑法定主義を取り、「臣民権利義務」の章を立てている以上、人権が「無かった」とは言えないでしょう。参考までに条文をいくつか挙げておきます…。改善の方針は…。


F:筆記の適否・採点側/読み手への配慮

「文字は丁寧に記されているかどうか」「相手の立場で文章を考えているかどうか」という視点から答案を検証し、コメントします。

例:

a:文字表記が粗雑です。
読み手の立場になって考えてみましょう。大量の答案を、限られた短い時間で読み、さらに評価しなくてはなりません。これは相当に精神的な負担がかかります。そのような状況下で、読みにくい文字で記された答案に対して、読み手はどう思うでしょうか。ほぼ間違いなく、悪い印象を持つことでしょう。従って内容がいくら優れていようとも、そのできばえ通りには、評価してくれないことになります。これは書き手にとって、非常に損だと言うほかありません。きれいでなくとも、せめて丁寧な筆記を心がけましょう。

a:無用の説明です。読み手も十分に知り、世間でもよく言われているような当たり前の常識は、読み手の「うんざり感」を誘うこと請け合いであって、これまた他者に読ませるには値しません。
しかも相手は法学教授ですから訴訟に刑事と民事があることなど、もとより承知しているはずです。改善の方針は…。