小学校の作文以来、注意され繰り返し学んできたはずの書式ですが、誤解していたことが少なくないようです。この際、しっかり復習しておきましょう。
①改行
文章の書き出しを含め、答案文中の改段に伴う改行時には一字空けを徹底してください。これは答案書式の大原則であると言えます。
②段落を分ける基準
段落を改める際の原則は、あくまでも「書き込んだ内容」=「書く前に頭の中で整理した視点や問い」が変わる箇所で入れる、と心得てください。無意味に改段するのは、読み手が文の論理を把握するのを妨げ、文の評価を下げますので有害です。また文脈が大きく転換しているにもかかわらず、段を改めないのは、同様に有害です。
なお1段落は150字程度とするのが効果的であると、経験的に分かっています。これは形式的な問題ではありません。この制限を課すことによって、適度に改段しつつ、無用な記述を行わないようになり、読み手に理解しやすい文章が書けるようになります。文意の明瞭化と構成の容易化に、その効果は大きいですから、段落の字数をこのようにするようにしてください。
③無用な行空き
段落を改めるには、冒頭の一字下げをすれば良く、空き行を設ける必要はありません。特に制限字数のある試験答案では、空き行分が無駄になります。手書きの答案では、実際の字数ではなく、使用されている行数で字数計算をするからです。
④禁則事項
マス目のある原稿用紙で、行末に「や(だけが入ると言うことはありません。その場合には次の文字と2文字一緒に行末の1マスに書いてしまいます。同様のケースとして、行頭のマスに句読点(。、)や閉じ括弧(」や』)だけが入ると言うことはありません。その場合には前の文字と2文字一緒にして、前の行の最後の1マスに書いてしまいます。
このような原稿用紙の使い方につきましては、WIEのホームページから無料でご覧になれる『WIE小論文公開講座』の第1回「ともかく書いてみよう」で少し詳しく説明していますので、ご参照ください。
⑤半角文字
現在のままでも誤りとは申せませんが、横書きの場合アルファベットやアラビア数字は1マスに2字ずつ(ワープロソフトの場合、半角文字)書く方が一般的です。1マスに1字(全角)でも減点にはならないでしょうが、字数の節約になりますね。
⑥見出し
ビジネス文章の字数は、おおむね2000字以下、ほとんどは1000字程度です。この程度の長さを持つ文章で、小見出し・章立てや、まとめは無用です。章・節に分かれる=複数のテーマを含む長大な文章ならともかく、一読して読み手が内容を忘れずにいられる長さの文章なら、これらは無用なばかりでなく、「書くことが無くて埋めようとしたのだな」と読み手に思われてしまいます。
これは、普段職場でどのような文が標準書式とされているかにもよりますが、やはり3000字程度を超えた時点で、章立てやまとめを設けるべきです。これは、「長いから見出しを付けて読者の理解を助ける」との、小見出し本来の目的をお考えになれば、理解できると思います。
⑦図表や箇条書きの説明不足
論文形式の答案になっておらず、口頭での補足を前提としたプレゼン資料・レジュメの体裁になっています。御社の小論文の規定の詳細はわかりませんが、図表の使用や、箇条書きの多用を認める旨の通達が出ていないのであれば、答案内で図表を使うべきではありませんし、また、箇条書きを多用すべきではありません。
⑧略語の使用
法人は、昇進昇格試験の採点を、外部に委託する場合があります。御社の昇進昇格試験がどのように運営されているかは分からないものの、外部に採点を依頼している可能性があるのであれば、略語の使用を避けて、専門外の者でも容易に理解できる表現を用いるべきです。