昇進・昇格試験の解答例18

6) 働き方改革・コロナ対応

課題

 働き方改革の実現が強く求められている昨今の情勢をふまえ、貴職が管理職として果たすべき役割について、自身の職務遂行の観点も踏まえつつ具体的に論述しなさい。

文例案―建設業管理部門

 1.当社をめぐる環境と自部署の課題
 現在の建設業界は、バブル後不況を克服し、好況局面になっている。国土交通省『建設業を巡る現状と課題』によれば、政府・民間投資の合計額は、バブル後不況の40兆円台から平成29年以後60兆円を超えるまで回復した。これは最盛期(平成4年)の80%に当たる。
 これに対して、就業者数は最盛期(平成11年)の70%である。技術革新による生産性の向上を勘案しても、深刻な人手不足となっている。
 また、人手不足以外にも、建築資材の価格高騰が深刻な影響を与えている。これは短期的な現象ではなく、新興国の需要増や円安傾向が続く中で長期的な傾向となるだろう。さらに、賃金水準の底上げや働き方改革を図る政府方針も重要な経営環境の変化である。
 特に、2024年に実施される時間外労働の上限設定は重要で、労働力不足を残業時間の延長で補うことはできなくなる。生産性を高め労働時間を削減することが人員面でもコスト面でも避けて通れない課題であり、それは我が社にとっても同じである。
 こうした建築業界の課題は、主として建設現場や運輸部門の問題としてマスコミに取り上げられることが多い。しかし、私たち営業部門でも深刻である。得意先の希望にそって、資料の準備や各種手配をするため、休日出勤を初めいわゆる9to5以外の活動が多くなる。少子化に生産年齢人口が減少するなか、不規則かつ長時間の労働条件では、必要な人員を雇用することができなくなる。働き方改革への対応は、私の所属部署でも喫緊の課題だといえる。
 さらに建築現場では、2024年問題に対応して、4週8閉所と完全週休二日制になる。これに対応するには、我々営業担当者が得意先に対し、工期短縮の提案と適正な納期設定の交渉をしなければならいない。
 すなわちと、私たちが働き方改革を実現するには、営業部員個々人の時間外勤務を削減するとともに、得意先に対してはより高度な対応をしなければならないのである。

 2.課題解決への取り組み
 この課題解決の鍵となるのが、①DX化などの業務手法の改善と、②人材育成による社員個人の業務処理能力向上である。
 ①では、すでにテレワークとWEB会議を導入しており、通勤時間や紙ベースの資料準備などの時間が無くなっている。さらに、取引先とも移動時間を気にせずタイムリーに会議が持てるので、効率的に情報共有・意見交換ができるようになった。
 こうしたIT機器の活用以外にも、昨年から当部署のオフィスがフリーアドレス化となり、多様化する打合せスペース・集中して仕事ができる個別ブース等を利用することで、生産性を高めることができた。その結果、A業務量が増加したにもかかわらず残業時間は微減した。また全員が有給休暇5日以上を取得でき、安易な気持ちで残業しないという意識改革も進んだ。
 しかし、建設現場で積極的にICTが導入され急速にDX化が進んでいることに比べて、自部署ではまだ遅れている。建設現場ではすでに、各種工程・作業の自動化・無人化が成果を上げつつあるが、営業業務はまだ人手に頼る部分が多く、業務が属人化して特定の個人に長時間労働を強いることに繋がっている。
 今後は、タスク管理ツールを本格的に導入し、プロジェクトの進行状況を部署全体で共有できるようにしたい。ただ、そのためのデータ入力などで業務量が増えては、本末転倒である。私が先導して他部署の経験を聴くなどして、適切なツールの導入を図る。
 また、自部署に集まる得意先の企業情報、新しい工法などの各種情報を統合したデータベースを充実させ、資料調査・準備期間を短縮するそして、長期的にはAIの導入しデータベースをさらに有効に活用する。例えば、取引先から提示してもらった基本仕様や工期を入力すれば、適切な工法と価格の見積もりをAIが答えてくれるといったシステムの導入である。そのためには、営業以外の設計や建設部門との協働が必要となが、私が中心になり、各部署との連絡調整を図る。そして、施工計画書のたたき台程度はAIに作成させ、それに基づいて迅速で正確な顧客対応ができるようにする。
 ②の人材育成も課題となる。①によって自動化が進んでも、最終的に判断を下すのは人間である。また業務で得られた経験をフィードバックし、部署全体で共有すべきデータに加工するのも人間である。これまで当部署では、OJTによる教育が主であったが、これでは鳥瞰的な視点に立って、得意先の要望を整理し、多くの選択肢から最適解を見つけ出せる人材を育成するには時間が掛かる。
 そこで、WEB会議の形式で1月に1回、1~2時間程度研修の機会を設けるようにする。そこでは、得意先企業の特性や、最近の需要動向、注目すべき工法など時宜に適したテーマを学んでもらう。講師は自部署だけではなく、他部署の管理職にもお願いする。また講師を決めずに私の司会で、お互いの疑問や意見を交換の場となる会も用意する。(1990字字)

◎ここに示した考え方で、文章例を希望される方は模範文例作成で承ります。

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