6) 働き方改革・コロナ対応
課題
設計プロセスの構築による長時間労働の改善
文例案―システム開発
長時間労働が社会問題化しているが、これは労働者の健康問題にとどまらない。長時間労働の常態化は時間当たりの生産性を低くする。さらにこうした職場は、人手不足の中、人材確保が難しくなっている。
私の所属する○○事業部は、長時間労働が深刻である。このために、体調不良となり異動や退職をする例がある。その結果、不慣れな新人に負担を強いることになり、さらなる長時間労働の常態化と生産性の低下を招いている。
長時間労働の原因には、短納期に対応して当初から残業時間を組み込まざるをえないなど部門外との関係によるものもあるが、部内の問題も大きい。その最大のものは業務が属人化し、ノウハウが組織に蓄積されないことである。さらに異動や退職などがあれば、ノウハウも流出してしまう。
また新人に伝えるべき知識が体系されておらず、教育・研修の方法も確立していない。他業界から転職した私は、配属当初、必要なツールや手法、過去の設計情報などが分からず苦労した。これでは過去に解決済みの設計課題を繰り返す、新人の戦力化が遅くなるなど、生産性の向上を阻害する。また技術情報以外にも、担当者毎の進行状況など組織に関する情報も共有されていなかった。これも業務の相互支援が円滑にできず、生産性低下に繋がっていた。
この解決に向け技術情報では、設計ノウハウの蓄積・共有や評価計画の明文化を行った。この枠組みは、以前勤めていた会社での方式を基盤にした。さらに一歩進めて、設計要件が曖昧で、担当者まかせになっていた装置設計のコンセプトやルールを明文化し、グループ内で共有した。
現在では、作業グループ毎に初期段階で設計要件を明確にし、基本コンセプトやルールを決めている。作業開始後も全員の設計検討データを集約し、グループ内で共有するとともに、検討結果を記録しいる。また装置の評価検証も、目的・条件・方法・ツールを明文化している。このフォーマットは、エクセルデータの活用で自動集計・グラフ化を低コストで実現した。
次に、部内の業務状況を共有する方法として、従来からのスケジュールボードを活用した。簡単なことだが、各自の進行状況を記入することで、遅れや障害が深刻になる前に相互支援体制が取れ、業務の引き継ぎも円滑になった。
以上の結果、開発途上での回り道や同一作業の重複が減少し、さらに直接の担当者以外のチェックが入ることで、ミスも少なくなった。しかし、明文化・共有化に掛かる時間が増えたために、部門全体の効率化は不十分で長時間労働は解消したとは言えない。しかし、今後もこの方針を継続し、改良することで所要時間は短縮できる。特に開発データの集積が進むことで、業務の効率化も加速する。
さらに、知識・情報が体系化されるので教育も効率化できる。ただし、新人教育では、創意工夫の大切さを強調し、既存の成果の組み合わせだけでは不十分なことも理解させる。(1197字)
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