昇進・昇格試験の解答例12

5) 社員能力の向上・人材の育成

課題

 部長に求められる社員の見守り・育成支援と、組織目標達成との両立について、自身の経験を踏まえて論述

文例案―事務機器製造業

 私の所属部署では、部員がXXと関連法規に関する専門知識を持ち、担当する案件には自ら考えて行動し、周囲を巻き込んで成果を出せる自立型人材が必要である。その育成には、部員各自が将来に向けて望むキャリアパスを自覚し、それに向けて歩むことが基本となる。
 そのためには、本人が欲する知識や経験を得られる場が必要だ。私は、部員が誰もが自分の関心や疑問を率直に話し合えるフラットな環境作りに留意してきた。例えば、トップダウン的に指示や注意をするのではなく、本人と質疑応答しながら対話型で業務を進行することである。また業務以外の雑談に参加するなど、良好なコミュニケーション形成を心がけている。
 その結果、部員各自が自己に必要な能力は何か考え、その向上に取り組んでいる。またコミュニケーションが充実したので、誤解やミスを早期に発見でき、効果的な見守りも行えている。
 一方、組織目標達成のためには、育成途上の部員でも正確・迅速に業務を遂行出来ねばならない。このため、課長職である私の担当業務を中心にナレッジ化、マニュアル化を進めた。その結果、経験の浅い部員にも、業務を任せられるようになった。また仕事を任されたことで、部員のモチベーションも向上した。
 しかし、自発性を尊重することにはマイナス面もある。各自のキャリアプランにそって能力向上を図るので、各個人それぞれに得意分野・不得意分野が生じることである。これを克服するため、ある事案に対して、各部員の得手不得手を勘案して、適切なチームを組織して担当させている。これには、業務の属人化を防ぐ効果もある。
 今後の課題として、個々人の希望に添った能力育成だけではなく、部署全体の専門性・技術力の向上がある。これに対しては、必要な部員の資格・キャリアを折に触れて提起して、嘱託や派遣社員も同等に扱った。その結果、派遣社員の中から国家資格を取得する者が現れるなど、成果が上がっている。(804字)

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