課題
これまでの職務経験における挑戦とその成果を具体的に述べてください。また、当該経験や御自身の専門性を踏まえ、**省職員としてどの分野でどのような貢献をしたいと考えているかを具体的に述べてください。
文例案―中途採用試験:技術職
私は、2000年より今日まで生命保険会社で、市場調査とそれに基づく新規事業の立ち上げに携わってきた。06年からは、保険募集でのコンプライアンス強化施策と銀行における生命保険の非体面販売のルール整備に取り組んできた。この間、自部署において過去最高の売り上げ実績を達成することができた。
2009年に起きたクレジットカード情報漏洩事案への対処のため、特別対策チームの一員として情報漏洩事案の解決と再発防止に携わった。このとき、顧客やカード会社との補償交渉、金融庁への報告や業務改善計画の提出、マスコミ対応に携わり、約1年半をかけて事態の収束がかなったのは貴重な体験である。
2011年からは、所属部署のマネージャーとして、顧客データベースの構築と活用による非体面コミュニケーション強化に取り組み、業務の拡大と効率化を達成した。2014年からは、2016年施行の改正保険業法に対応するプロジェクトチームの長として、社内マニュアルの作成を担当した。
このとき、同時に非体面募集を大々的に手掛ける業界のリーダー会社を代表して、業界団体や監督官庁である金融庁と直接交渉にあたった。このことで、業界ルールの整備に、中心的役割を果たせたと自負している。
2018 年より課長職に相当するマネージャーとして、デジタルツールを駆使して非対面、ペーパーレス手続による新しい保険募集スタイルの開発と推進に取り組んできた。技術面の開発だけではなく、監督官庁や業界団体との折衝、
リスクセキュリティ強化とコンプライアンス体制の整備も進めている。社内外の必要な部署と情報交換と調整に特に留意して、効率的に行うようにしている。
特に昨年来のコロナ禍に対しては、ビデオ会議システムを活用してリモートでの保険相談やインターネットに専用システムを導入してリモート化を進めている。この結果、保険の販売から維持管理までのデジタルトランスフォーメーションに成果を上げている。
生命保険は日本人の約9割が加入していると言われ、行政による社会保障を補完するものである。それだけに、規制と制約が大きく、わが国では諸外国と比べて生命保険業界のデジタル化は大きく遅れていた。その中で私は、この解決に成果を上げたと自負している。
以上の職務経験から、①各時点でのIT技術にできること・できないことを見極める力、②お客様の期待と不安を正確に知ること、③多様な技能を持つ人たちが協働して成果を挙げられる調整し指導するリーダーシップ、④関連法規の正確な理解と行政との連携の重要性を痛感し、またそれに必要な能力を身につけることができた。
現在の日本は少子化による労働力不足・税収減と、超高齢社会の到来による社会保障費の増大に直面している。加えて技術革新の加速や、温暖化による災害の激甚化など、迅速かつ的確な対応が求められる局面がふえている。
これらの課題を解決するカギになるのが、IT 技術の活用による業務改革である。しかしながら、マイナンバー制度の普及が進まないなど、日本の行政電子化は諸外国に対して遅れている。このため、今般のコロナ禍に対する各種支援の遅れや、申請者の的確な支援ができないために不正受給を許すなど、マスコミの批判を浴びた。
行政の電子化が進まない第1の要因は、効率より安全・確実を最優先せざるをえず、新技術の導入に慎重にならざるを得ないからである。公共性の高い生保分野で、安全性を最大限確保した上で経済性を追求してきた私は、先に触れた①②の点で制度設計に貢献する自信がある。
また、電子化を進める上で意見や要望を聞く範囲をどこまで広げるか、また必要な技能持ち主をどれだけ集めるかが電子化の障害となる。総務省のような大きな組織であれば、これが最大の阻害要因ともなる。特にクラウド技術が一般化した今日では、既存のシステムを応用しながら、少しずつ電子化を進めることが望ましい。これについても、先の②③④の技能が役に立つ。
第3の要因は、国民が電子化の必要性を痛切に感じておらず、先の情報漏洩事案などによって安全性に疑念を抱いていることがある。私が職務経験で身につけた、①②の能力を発揮したい。デジタル化・リモートに対して、国民が何を期待し、どこに不安を感じているのかを正しく理解し、有効な提案をしていく。
幸いにして入省がかなえば、行政管理局・自治行政局・情報流通行政局など、電子化・IT化が喫緊の課題となる部署で働きたい。しかし、どのような配属先であっても、多様化するお客様(国民)と、取り巻く環境変化を常に自分なりの視座と見立てをもって、民間出身者だからこその貢献をしていきたい。(1879字)
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