中間管理の責務

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中間管理の責務

 組織統括職としてあなたが考える責務と役割とは如何なものか。目標達成、戦略立案、人材育成の観点から中期的な視野をまじえて論ぜよ。(販売、サービス、業務などの部門に囚われずに)


文例案

 組織統括職の責務と役割とは、まず組織に与えられた目標の達成である。そのために組織を取り巻く状況を分析し、具体的な行動指針となる戦略を立案することも重要である。また、長期的に業務を継続・発展させていくための人財育成も、組織統括職が担うべきである。

 以上を、私が所属する○○自動車ディーラーの中古車販売課に即して考えると、目標達成とは社全体で決定した当営業所の売り上げ目標を達成することである。それのための戦略立案の第一歩は、所属組織が置かれている現状の把握である。近年はネット販売が拡大し、顧客が多くの情報を持つようになった。そのため我々ディーラーの専門性が活かせず、一般中古車販売店との価格競争が激しくなっている。さらに買取に特化した業態が増え、下取りによる在庫の確保も難しくなっている。

 以上の状況下では、商品単位さらには担当社員毎にきめ細かく販売目標を設定することが、全体目標を達成するための戦略の第一歩である。また競合他社との差別化には、ディーラーとして高級感、安心感、満足感をお客様に提供することが鍵となる。その一方、一般中古車販売店との価格競争に対抗し、品不足による仕入れ価格上昇の中でも確実に利益を生むための、効率化も戦略として不可欠である。

 具体的に販売目標では、部下個々人の特性を理解した上で、当社の各種キャンペーンや税制の変更などの要因を考慮し、各自が実現可能な目標を設定する。これを業務命令として押しつけるのではなく、個々の社員に丁寧に説明し、達成に向けた方策を相談する。

 他社との差別化では、自動車保険やアフターフォローなどの充実も有益だが、何より従業員の接客品質が大切である。なかでもも、細かいマナーや言葉遣いだけではなく、会社の理念を自信を持ってお客様に訴求し理解してもらう、という姿勢である。これを身につけるため、社員個々人と月に一回は相談の機会を設け、個々の事例に一喜一憂せず、長期的な視座で仕事に取り組むよう指導していく。

 効率化に関しては、チームワークを育てる。お互いの個性を理解し、協力することで、情報共有ができ作業の無駄が減る。さらに業務の融通ができれば、総労働時間が減り、休暇を適切にとれるようになる。販売業務は属人的になりがちだが、業務報告の書式を統一してデータベース化し、全員で参照する。さらには私が会議の議事進行を工夫して主催する会議では、社員の相互理解が深まるよう議事を進行する。最終的には、社員全員が仕事を楽しみ、ミスの報告もためらわずにできる雰囲気を作る。

 最後に人材育成に関しては、業務を離れての社員研修などより、OJTが重要である。こまで述べてきたきめ細かな業務指導、当社の理念を理解して自信を持つような指導、チームワークの育成などは、それ自体が人材育成である。今後は、私の指導だけではなく、組織全体として先輩から後輩へと伝統が伝わるようにしていきたい。(1206字)

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