AIを使って提出書類をつくってしまえば、限られた時間で、集めた材料を文章にできるという点では有益であることは間違いありません。しかし、そこにはやはり限界があるのも事実です。以下では、提出書類の実例に則して問題点をあげてみます。
・活動報告書
高校時代の活動を満遍なく紹介するだけなら、AIを使ってもいいでしょう。ただし、AIは強調すべきこと、逆に軽く触れれば良いことのメリハリまで付けてくれるわけではありません。
高校生活をどう位置づけ、どう物語にし、どこに力点を置くかについては、最終的に自分で考えるしかありません。
・進学後・卒業後の希望
これも進学先の専門や大学・学部の特色に沿った最大公約数的な将来像は書いてくれるでしょう。しかし、あくまで最大公約数的な将来しか描けないので、これについても何を強調するのか決め、それにあわへた材料を志望者が用意しなければなりません。
AIで下書きをして貰うのは良いですが、そこから独自性のある内容にするには、志望者自身で頑張らなければならないのです。
・事前提出レポート
高校時代までの活動報告や、入学後の希望など、いわゆる志望理由書といわれるものの他に、課題図書を読ませるなど何らかの課題を出し、それに対するレポートの提出をさせる大学・学部があります。特に難関大学では、このような事前提出レポートを課すところが増えています。これをAIに書かせれば、比較的簡単に一定水準の答案を作成してくれるでしょう。
ただし、出題側も受験生が自分で考えずAI任せで作成したレポートを提出してくることを警戒しています。AIで作成された文章を見抜く方法やそのためのソフトが開発され、実用化されています。また、面接や筆記試験の中で、事前提出レポートの内容に関する質問をしたり、それを前提にした考察をさせることも少なくありません。ここでもAIの利用は素案・下書きまでで、最後は自分で書かなければならないでしょう。
在宅で用意する書類やレポートでは、AIは役に立つ助手ではありますが、それでも受験生自身で考えて書かなければなりません。また書き上げた文章のチェックも、受験指導の経験豊富な方に見て貰い、強調すべき点・軽く扱うべき点などを助言して貰いましょう。