Ⅵ 解答者の職歴・職種による注意事項

昇進昇格試験論文やビジネス文章を作成する際の参考になるコラムです。

⑤営業職①・・・売上と収益、短期と長期など多様な視点から見る

 技術に明るい者同士で議論をすれば、「将来の技術開発可能性」については深い議論ができるでしょう。一方で、消費者のニーズについては、技術者が鈍感であることに気をつけなければなりません。恐らく、御社の中で消費者のニーズに詳しいのは、「営業担当者」や「マーケティング担当者」でしょうから、こうした別部門の方との情報交換の頻度を増やすことが、消費者のニーズにあった技術開発・製品開発をする上で今後重要になるのではないかと思います。

 この後に添削する別の課題で、「組織の連携」が重要概念になっていますが、管理職として組織を活性化するには、こうした別部門に埋もれている知識(経営資源)を共有化して利用すること、あるいは、異なる知識の融合により「(比喩的な意味での)化学変化」を起こすことも重要になります(→例:技術展望+消費者のニーズ→魅力ある製品の開発)。

 営業部門に関係する経営計画として代表的なものは、例えば次のものがあります。

 (1)売上の増大(経営規模の拡大)
 (2)経費の削減(体質改善)
 (3)短期的な収益の拡大(→例:会社組織全体の収支を赤字から黒字にする)
 (4)長期的に収益を確保する体制づくり(→例:人材育成)

 (1)と(2)の考えは、時に相反しますし、また、(3)と(4)の考えも時に相反します。そのときの経営陣の判断次第で、どの項目を優先するかは決まります。

 営業部門に所属する方は、一般に(1)を優先して考えますが、経営方針次第では、(2)が優先され、(1)は後回しになる場合もあります。売上を拡大するには、販売促進の費用が増えるので、経費の増大が避けられないからです。

 御社の経営計画の概要がどのようになっているか明示してから議論を進めないと、解答者の提示した課題および、施策の効果が、御社の経営計画達成に役立つかどうか、読み手には判断できないのです。

 (3)・(4)の「短期」・「長期」は、あくまで相対的なものです。実際の経営計画では、多くの場合に具体的な期限を区切っているはずです。(→例:今後三年間で、収益を30%増やす)。経営が順調な場合は、すぐに見返りを期待しない長期的な視野に立った人材育成が可能であるものの、そうではない場合は、一定期間内に確かな見返りがある見込みの人材育成を提示しないと、経営陣は評価しません。もちろん、管理職としては、部下の育成は大事な業務になることは多いものの、昇進昇格試験の答案としては、(出題側が用意した課題に的確に応えていないという意味で)アピール度が弱く優先して書くべきことではない場合もあるのです。

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