Ⅲ 答案作成の手順

昇進昇格試験論文やビジネス文章を作成する際の参考になるコラムです。

⑦構想メモの失敗例

 ここで、答案の問題点を検討するために、設問文(課題)を分析してみましょう。使用されている重要概念(=指定された論点)に注目しますと、答案では、次の①~④に言及しなければならないことがわかります。

 ①10年後の社内外の環境変化への対応や②業績向上のためには、組織の③意識改革が必要です。④あなたの所属する部署において、どのような③意識改革が必要か、⑤あなたの担う役割と行動をふくめ、またそれに伴う身につける⑤スキルを⑥時間軸に沿って述べなさい。

 ここで、お送りいただいた答案を、段落ごとに短くまとめ(=要約し)てみましょう。その際、各段落の重要概念(論点)が設問の要求する①~④とどう対応しているか、()で示します。

第一段落:①と対応するともとれるが10年後とは明記していない。
第二段落:②業績向上に向け解決すべき課題
第三段落:④と対応するともとれるが、あなたの所属する部署とは明記していない。
第四~七段落:課題を解決する為の施策1(⑤)
第八~一二段落:課題を解決する為の施策1(⑤)
第一三・一四段落:①10年後の状況を述べているが、途中過程が十分に説明されておらず、⑥時間軸に沿っているか不明確。

 これから分かりますように、設問文の重要概念=設問が指定した論点のうち、③「意識改革」に対して、この答案は全く触れていません。さらに①「10年後の社内外の環境変化」および「あなたの所属する部署」についても明確な言及はありません。このため、設問の要求に対応していないのです。

 第二の問題点として、概念の関係付け=論旨の構成に不適切な点があります。例えば、第三段落で「個人商店化」を解決すべき問題としてあげていますが、これが②「業績向上」をどのように阻害している、あるいは他の阻害要因と比べなぜもっとも重視すべきなのか、全く説明(論証)がありません。これでは、単なる思いつきの域を出ません。これは、この答案を評価するための根本原則に関わります。

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