Ⅲ 答案作成の手順

昇進昇格試験論文やビジネス文章を作成する際の参考になるコラムです。

⑩論旨の流れ

 論旨の明快な答案を作成するには、概念を提示する順序に気を配ることも大切となります。
 今回の課題であれば、「大きい視点」や「抽象的な視点」を先に述べ、「小さい視点」や「具体的な視点」を後から述べるのがお勧めです。具体的には、次の項目が該当します。

 「大きい視点」→所属法人の説明
 「抽象的な視点」→所属法人の経営目標や社是
 「小さい視点」→解答者の担当業務の説明
 「具体的な視点」→解答者の担当業務の具体的内容

 このように、文同士、段落同士が適切につながって、一連の流れがあることを「文脈がつながっている」と言いますが、達意の文となるにはこの作業が不可欠なのです。
 そもそも、すべての文(文章内の各一文)、ならびに段落は、必ず直前もしくはそれ以前の記述と結びついていなくてはなりません。これを軽々に考えないで下さい。自分がわかっていることと、読み手に読み取れることとは、全く異なります。同時に、読み手に読み取れるよう記述を整理し、配置することが、とりもなおさず状況の整理=自分で理解すること、にほかなりません。読み取れないような文を書くということは、自分でも、そのものごとを正確に把握できていないことを意味するのです。

 少々説明が長くなってしまったかも知れません。簡潔にまとめます。
(1)つなぎの言葉を入れて、違和感なく自然につながるようにする。
(2)適切なつなぎの言葉がみつからない場合、果たしてその順序で説明することが適切だったか、という観点に戻って検討する。

 つなぎの言葉に困る原因の多くは、前後の段落や文の関係を書き手自身が正確に理解していないからです。こうした場合はつなぎの言葉を考えるよりも、前後の段落や文の関係がはっきりするまで、思考を整理することが重要となります。

 ビジネス論文で修辞(=言葉遣い)を工夫する意義は、書き手の考えをなるべく劣化させずに読み手に伝えることにあります。修辞の工夫で、書き手の思考不足を補うことはできません。このことを胆に銘じていただきたいと存じます。

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