合格者の添削例(慶應SFC・総合政策)

I・Tさん 慶應義塾大学総合政策学部

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問1・2ともに今回は文句なしの合格答案と申せます。大きな問題点はありませんので、あとは前回申し上げましたように、今までの添削結果を材料にして、この講座の復習をしてください。
試験に確実ということはいえませんが、昨年の受講生の例では、I・T様と同程度の答案を提出された方は、ほとんど合格されています(全員、と申し上げたいのですが、ご報告をいただいていない方もおいでですので、「ほとんど」としておきます)。あとは、実際の試験場で、落ち着いて問題に取り組んでください。特に、設問文を良く読み、その要求を理解した上で、資料の内容を正確に把握するようにしてください。この基本ができていれば、答案の論点は適切なものになります。あとはその論証で用いる事例を用意するための知識と、概念の関係付けを行う論理的構成力の問題ですが、現在のI・T様はこの点では合格圏の実力をお持ちです。
では、いつものように小問ごとに検討して参りましょう。


個別のコメント

問1
今回は、資料を適切に利用することで、「強制」の範囲が明確になりましたね。その他、細かい概念の関係付け=論旨の構成が曖昧な箇所もほとんど一掃されました。今回は文句なしの合格答案といえます。
ただ、I・T様の考える「国旗・国歌」のあり方に、やや概念の関係が曖昧な箇所が残っています。前回はgのコメントで簡単に触れただけでしたが、今回はこの部分の改善案を示してみました。その他はいずれも細かい問題ですので、参考としてお読みいただくだけで構いません。

a 国語表現の問題ではりますが、「何が」自由を侵すのか、概念の関係=論旨が不明確になっています。
b 前回のcで指摘しましたように、……(資料)。~の順番にすべきです。
c ここは概念の使用方法として不正確です。日本ではあまり意識されていませんが、複数の「民族」が1つの「国民」を形成する場合は多々あります。そのとき、ある「民族」は公教育を受けられ、他の「民族」は公教育を受けられないのでは、国民主権および平等の原則に反するでしょう。
  確かに、公教育において民族的・文化的多様性は尊重されるべきですが、国家が保証する公教育は、あくまでも「国民」全体に対するものでなければなりません。
d 学校における「国旗・国歌」の取り扱いが不十分であるという見解に対して、ここで解答者が具体的なあり方を提案している箇所ですね。しかし、「教材」という概念がどのような取り扱いを指すのか、現在のままでは不明確です。あるいはI・T様のお考えとは異なるかもしれませんが、私なりに明確にしてみました。

問2
前回は、イデオロギーなど解答者の用意した重要概念の使用法に問題があり、論旨=概念の関係が混乱してしいましたが、今回は、この問題が解決しましたので、こちらも文句なしの合格圏です。

a あって誤りとは申せませんが、この「普遍的」は他の概念との関係付けがほとんどなされていません。字数に余裕があれば、多様な住民に国民としての統一性を意識させる、という指摘をしたうえで、もう少しこの概念を詳しく扱うことも可能でしょう。しかし、制限字数超過の危険を冒すよりは、ここは削除してしまった方がよいと思います。
b 今のままでも大きな減点にはならないでしょうが、「国民国家」を問題にしているのか、あるいは「国旗・国歌」なのか、曖昧になっています。設問の要求に応えるためにも、私ならここは「国旗・国歌」の問題にします。
c 資料5で取り上げている日本国内の民族的少数派の問題を表現するか苦労されたようですが、私ならこのようにします。

以上です。

さて、冒頭で「落ち着いて」と申し上げましたが、そういわれても実際の試験場では、緊張するのはやむを得ないですし、つまならいミスを避けるには、適度な緊張感はむしろ必要だとさえいえます。
ただ、確かに問題が難しいと感じたときには、焦りますね。
これは私の大学入試の時の体験ですが、東大の試験当日、同じ高校から受験していた友人たちと一緒に、昼食を食べていました。その時、友人の1人が、「今年の問題は易しかった。全部解答できた。合格はいただきだ。」といいだしました。私などは問題が難しく感じられ、まさに顔面蒼白でした。「これで2浪確定だ」と思っていましたので、この話を聞いて、ますます「こりゃ、あかん」と感じたのです。
ところが、いざ合格発表を見に行くと、合格していたのは私を初め「顔面蒼白組」ばかりで、「易しかった」といった友人や、それに同意していた人はほとんど全滅でした。
これは、後で考えてみるとなかなか意味深長な事例だと思います。「難しい」と感じた人は、出題の意図が奥深いものだ、ということが理解できていたのでしょう。逆に、「易しい」と感じた人は、これが把握できていなかったのだと思われます。

私の体験は古いので、前期後期制が導入される前ですから、この話は現在の「前期試験」の例になります。しかし、「小論文試験」であれば、さらに出題の意図=設問の要求を正確に把握する必要性が高いですね。したがって「手も足も出ない(何を書いていいのか見当も付かない)」というのは確かに困りますが、「考えをまとめるのが大変だ」という意味で「難しく」感じることは、決して悪いことではないのです。むしろ「難しい」と感じたときは、他の受験生に差をつけるチャンスなのです。
少し余計な話だったかも知れませんが、試験場で無用な不安や混乱をきたさないための参考になれば幸いです。


この講座を通じてお伝えしたかったことは、全てお話ししたつもりです。I・T様のご健闘をお祈りするとともに、良いお知らせをいただくのを楽しみにしております。

西早稲田教育研究所
慶應SFC小論文講座
担当 西田京一

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