合格体験記(慶応SFC)

I・Kさんの合格体験記

・慶応SFC:環境情報・総合政策ダブル合格の、I・Kさんの合格体験記です。
WIEの講座だけでなく、受験全般の参考になりますので、長いですが全文を掲載します。


私は一度別の大学を卒業しているので、私の経験が大学受験生の多数派にとって役に立つものかどうかわかりませんが、WIEの小論文指導はその素晴らしさの割にはあまり世間に認知されていない気がしますので、合格体験記を兼ねてWIEの小論文指導の有効性を訴えたいと思います。

私は2003年の12月頃にSFCの受験を思い立ち、2ヵ月あまりの勉強で2004年度の入試に挑んだのですが、総合政策学部と環境情報学部の両方とも不合格に終りました。その時は小論文試験の重要性を考えておらず、英語の合格最低点が約6割という情報を安易な方向に考えて、「過去問をやってみたら7割-8割得点できたので、まあ受かるんじゃないか」と油断していました。本番でも両学部とも英語で7割5分以上を取れたので、合格発表日まで根拠もなしに自分の合格を確信していました。不合格になった後、何が自分に足らなかったのか冷静に分析したのですが、やはり小論文試験の対策を全く行わなかったことが大きいと思います。

その後、小論文試験対策をなんとかしようと思っていろいろ情報を集め、WIEのSFC小論文対策講座(環境情報学部)を5月から郵便受講で申し込み、SFCの現役学生が主催している小論文対策のWEBPAGEで推奨している「小論文を学ぶ」(長尾達也著)を小論文対策の書籍として良さそうなので購入しました。5月に入るまでは「小論文を学ぶ」を読んだり、Princeton Review社から出ている米国人向けのSAT対策の単語集などを勉強したりしていました。

5月からWIEの添削が始まったわけですが、1998年度、1999年度、2000年度の初回提出まで、全て西田先生に「ダメ出し」を出されてしまいました。これは自分が問題の設問文の指示に完全に従っていなかったことが原因でした。つまり、自分では「凄い論文」を書いているつもりで、設問の指示から大幅に脱線していたのです。また、「小論文を学ぶ」で提示されているような現代思想やポストモダン的な考えに則った小論文でないと良い評価を受けないのではないだろうか、という思い込みもあってか、自分でも充分に納得していない現代思想の考え方を不自然に提出答案に盛り込んでいたのも、誤りの原因の一つだと思います。2000年度の二回目の答案提出以降は概ね「合格答案」との評価を頂けるようになりました。

12月に総合政策学部の問題添削をメール受講で申し込みましたが、代々木ゼミナールと河合塾の直前対策講習の準備などで初回提出が1月になってしまい、立て続けに数年分提出したため、直前期でお忙しい西田先生を更に忙しい状態にさせてしまいました。これからSFC対策講座を受講される方は、なるべく早めに答案提出するよう心がけましょう。

直前期に行った小論文対策は、過去7-8年分の設問文を意味や指示を損なわずに自分の言葉で簡潔に書き換えて、印刷してトイレなどに貼っておくというものです。これを行えば設問文の指示から脱線することは確実に防げるでしょう。また、資料文を30-50語くらいで簡単に説明したりする訓練も有効だと思います。一方、予備校等などで行われている「現代思想」や「ポストモダン」な考えの物書きが書いた文章を読んで、「SFCの出題者達に同調してもらえるような内容」の文章を書けるようにする訓練は、直前期であろうとなかろうと無意味だと思います。

そんなこんなであっという間に2/19と2/20の試験日になってしまいました。2/18日に2004年度の総合政策学部の小論文の添削結果を西田先生からメールで送ってもらったものを受信し、「合格答案」であるとの評価に安心した後に試験場近くのホテルに向かいました。ホテルに着いた後は、雪などで電車が止まった場合に試験場まで歩いて行く道筋を確認したり、スタミナの付く食事を出してくれる店などを探したりしました。合計5時間もの試験ですので、試験日が近くなったら食事には気を付けましょう。

さて、事前に調べておいたホテル近くの銭湯が、2/18は休業日で、2/19の総合政策学部は風呂に入っていない状態で受験することになりました。最良のコンディションというわけではありませんでしたが、午前中の英語は一問目が比較的簡単だったせいか、まあまあの出来栄え。午後の小論文試験の10分ぐらい前に、白板にマジックで訂正が書かれました。「国旗・国家→国旗・国歌」という訂正内容でした。「ウェー、踏み絵みたいな問題でないといいけどナー」と思ったものです。試験開始後、あまりに自分の予想とかけ離れた問題だったということと、例年設問文の指示が厳格だったのに、1問目は「自分の体験も踏まえて」という以外に特に限定がない設問文だったので驚きましたが、WIEの添削講座の指導を頭の中で思い浮かべながら、資料中の朝日新聞と産経・読売新聞の論争の中から論点として使えそうなものを抜き出し、整理してからそれらに自分の見解を絡ませ、具体的な解決策を提示する答案を書くことができました。2問目は資料で提示された論点に言及することが難しい内容でしたので、1問目との問題の核心の差異を提示し、日本社会全体で適用可能な解決策を提示する内容で答案を書きました。提出後、自信はありましたが、「市民と武装」を書いた小熊英二氏(総合政策学部教員)が採点したら落ちるかもナー、などと思いもしました。ホテルに帰ってからは18日に行けなかった近くの銭湯に行ったり、自分にとっては珍しいTVK(テレビ神奈川)の放送を観たり、あまり勉強はしませんでした。1998年環境情報学部のWIEの添削答案の見直しと、大学院の過去問を熟読したぐらいです。

環境情報学部の試験日である2/20になりました。この日は試験場で隣の受験生が欠席していたようで、筆記用具を置くスペースを余分に取ることができました。SFCでは小論文試験の解答用紙が巨大で、且つ指定された折り目以外で折ってはならないので、机の周辺状況によっては筆記用具の置き場に困ったりもします。小論文試験では論点整理のメモ書き用に持ち込みが許されている青と黒のボールペンも用意した方が良いでしょう。午前中の英語は1問目が40分で終了し、2問目もスムーズに処理できるかと思いきや、内容真偽問題に意外と難しい問題があって、全問解答するまでに2時間ちょうどかかりました。英語は両学部とも最後の解答箇所の(60)は(01)-(59)までとは異り、マークシートの裏に解答させる配慮がなされているので、マークミスは防げると思います。午後の小論文はアフォーダンスの実例を二つ書かせる問題と、HumanInterfaceに関しての考察を書かせる問題でした。試験開始後30分以内にアフォーダンスの実例を二つとも書き上げ、Human Interfaceに関する考察の問題にじっくり挑みました。私は中学生の頃からSOFTBANKやASCIIから出ているパソコン雑誌を読んでいましたし、CUIとGUIはどちらが優れているかという論題はある程度の年齢以上でコンピュータに関わっている人間にはおなじみのものでしたし、対象とするユーザーの多様化がデベロッパーに様々な要求を突き付けることなどは、身をもって実感してきたことなので、課題文を理解するのは非常に楽でした。最初の20行くらいを読んだだけで資料の最後まで内容が予測できたくらいです。というわけで、私にとっては環境情報学部の小論文試験は総合政策学部よりもずっと楽で、時間も30分くらい余りました。

2/26になってみたら両学部とも合格していました。本当に西田先生の指導のおかげだと思います。西田先生の指導が無ければ、おそらく「脱線」した答案を書いて今年も不合格だったと思います。


SFC入試に関しては多くの人が誤解していることがあります。

  1. 英語が帰国子女並にできないと合格しない(英語さえできれば他の教科が全然できない人でも合格する)。
  2. よって数学受験が穴場である。

1990年代の英語の出題ならばともかく、ここ数年の英語の設問文は丁寧な誘導付きのものに変化しており、基本的な英語力さえあれば解答可能なものに変化しています。ただし、英語の問題文そのものは目立って易化しているわけではありませんので、一般の受験英語よりも若干高めの語彙力と英文読解速度が求められることは確かです。

次に、数学受験だからといって特に有利になるということはないと思います。数学で9割や満点を取っても、小論文で失敗して不合格になる例もありますし、各自、安定して点数の取れる教科で受験するのが一番だと思います。また、第一段階目の教科による足切りを突破した母集団においては、数学受験者よりも英語受験者の方が小論文の平均点は若干高いと予測できます。SFCの英語で出題される問題文は、素材として比較的新しく、英米の知識人階級の基本的教養に基づいた内容が多く、小論文を考える上でも役に立つものが多いと思われるからです(2004年の環境情報の出題などは、数学受験者の方が有利かもしれません)。

どの受験方式を選ぼうにも、合格するには小論文である程度の高得点をたたき出さねばなりません。2003年の試験改革以後のここ数年は、英語や数学による足切りはあまり厳しくなく(110点前後でも合格する例がある)、合否決定に関して小論文試験の点数が占めるweightが、以前よりもさらに増していると考えるべきでしょう。

小論文試験で合格点を取れるようにするには、まず設問分析をしっかりできるように訓練することだと思います。思想の内容や主義主張で合否が左右されることは絶対にありません。「ポストモダンな世界観を持っていると判断できる答案だと合格しやすい」というのはデマでしょう。確かにポストモダンな世界観を持っている受験生の方が、問題を解く際に解答の方向性は定めやすくなりますが、自分が本当に心の底から考えていないことを答案にしても、あまり良い答案になるとは思えません。私は2005年度の総合政策学部の問題で、「義務教育過程の公立学校では国民国家の構成員として立派な"市民"を育てる目的もあるのだから、国旗や国歌に対してはプラスのイメージを抱かせるように教育が行われるべきである」という主張を核にしながら「だがしかし教職員の処分は行き過ぎ」などと資料文で提示されている論点にも言及した答案を作成しました。近代国家としての体制を強化すべきという考えでも合格したのですから、自分の考えに反してまでSFCの現役学生のWEBAPAGEや予備校で提示されている価値観に従った答案にする必要はないのです。

代々木でも河合でも直前講習で山のようにプリントを渡されましたが、どちらも講師が好きそうな物書き/学者の「ちょっとobsoleteかなあ?」と感じられる中身の文章が多かったような気がします。受験勉強ばかりで学校と予備校しか知らない高校生には、こういう指導も有効なのかも知れませんが、既に自分の頭で価値判断をすることができる人間にはあまり意味がない指導だと思います。WIEの小論文添削指導では、事実認識に誤りがあれば訂正されますが、初回提出の答案の方針をなるべく尊重した上で、更に良い答案にするべくそれらを改善していく為の具体的なアドバイスが受けられます。

傾向分析は大学院(前期博士過程;修士過程)の入試問題の設問文を分析し、課題文を熟読するのが一番有効だと思います。総合政策学部だけしか受験しない方は、学部の過去問題だけでも充分ですが、環境情報学部も受験する方は、大学院の小論文試験も必ずチェックしましょう。大学院の過去問題はSFCのWEBPAGEに入手方法が載っています。


再受験者、高齢(?!)者が気をつけるべきポイント
1.課題文、設問文中の概念を別の言葉でparaphrase(言語的置換)した方が自分の考えを伝達しやすい場合でも、採点者の便宜を考えて、
設問文の通り >> 課題文の通り >> オリジナルの優先順位で書く。(なるべくparaphraseするのは避ける)
設問文に「民主主義の国」とあったら、たとえ「democracyの国」とか「代議制民主政治体制の国」と書きたい欲求が自分の中にあっても、「民主主義の国」と書くこと。
 (明治以来の訳語の造語過程に違和感を感じ、それらを使うことにためらいがあっても、設問文や課題文に従う方が、この場においては賢い。)

2.計算機を使って文章を構成するのに慣れてしまった人間は、手書きの小論文試験では文章の分量調節が大変になる。再受験者や高齢者は文章量の不足よりも、過剰で悩むことが多いと思われる。小論文中で繰り返し使用する語は一旦注記した上で略記すべし。

*例*
 初出時:キャラクターユーザーインターフェース(以下、CUI)
 二回目以降:キャラクターユーザーインターフェース → CUI or 文字ベースUI

・講座開始のご案内 (2017/10/3)  ≫詳細