合格者の添削例(北大)

匿名希望さん 北海道大学法学部

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合格者の添削例(北大)


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残念ですが、以前同じ問題に取り組んだ時と同様の間違いをおかしています。それは、論理的思考の欠如です。
「地球資源が有限ではない、なぜなら人間には技術進歩があるからだ」というのは、ものごとの大きさや規模や長さに関して、考慮していないことを意味するものです。確かに、「かつて石油は枯渇すると言われていたが、現在の石油の埋蔵量は、石油を採る技術の進歩によって以前の埋蔵量より増加してい」ます。しかしそれでも、人類がこの先石油を使い続ければ、いつかはなくなります。そもそもこの宇宙に現実に存在する数値で、無限のものは未だ見つかっていません。数学では無限大という概念を扱いますが、それはあくまで論理上のもの、架空の事柄なのです。
課題文筆者が論じている、時間の「長さ」をもう一度考えてみて下さい。それは人類が滅亡するかどうかという、未だ確定されていない、遠い将来を扱うものです。

しかし技術革新によってめざましく人類の生活が変わったのは、ワットの蒸気機関から考えても、せいぜいここ150~200年ほどのことです。石ころと天体を同列に論じることができないように、あまりにも数的な差が大きな二つの事柄を、全く同じ条件にあるものとして論じるのは、論理的ではないと言わざるを得ません。
別のたとえを申し上げましょうか。ごく親しい友人に、「100円貸して」と言われたら、気軽に貸せないこともありません。しかし「100万円貸して」と言われて、「はいどうぞ」と言えるでしょうか。たとえ自分の貯金が1億円あったとしても、そうそう気軽に貸せるものではないでしょう。もし友人が「えー、なんでだよケチ、貸すってことでは同じじゃないか!」と言うような人だったら、あなたならどう思いますか?

以上の理由で、この答案は本質的に誤っています。これは以前同じ問題に取り組んで頂いた時にコメントしたことですが、課題文の論理をふまえる以上、「計画的滅亡」を根本から間違っていると論破することは、ほぼ不可能なのです。仮に「計画的存続」の立場で論じるなら、「『太く短く』は受け入れがたい」という個別の問題を突くしか、方法はありそうにありません。つまり、「計画的滅亡」の論理そのものは正しいとしながらも、その具体的運用に難があるという、総論賛成、各論反対の立場しかあり得ません。

これまで答案を拝見してきて、残念ながら論理的な思考そのものが苦手であるように思われます。特に今回の答案で感じられるのは、「階層構造」との概念がないことです。「この池には魚とコイがいる」という言明は、おかしいとわかるでしょうか。これは、論理的におかしいのです。なぜなら、コイは魚に含まれますから、同列に並べて考えることはできないからです。「コイとウナギがいる」「コイとタニシがいる」ならばOKなのですが。

いずれにせよ、課題文を前にした時、答案を書く時、とにかく「おちつく」ようにして下さい。今考えたこと、書こうとしていることが、「本当におかしくないか?」と自問し、じっくり考えるようにして下さい。おおざっぱでいい加減なものの考え方しかできないのであれば、いかなるすばらしい言葉も文章も、小論文として失格です。

最後に気になりましたので、蛇足を付け加えます。
もしこの懸念が外れていれば幸いなのですが、これまでにどこかで、間違ったことを書いた参考書を読んだり、いい加減な指導者についたことはないでしょうか。「とりあえず反対してみよう」などという、受験生をだまし、実に馬鹿にしたことを書いた参考書が、どうやらあるらしいからです。もしそうなら、今すぐそこで覚えたことは忘れて下さい。全く役に立たないばかりか、どんどん合格から遠ざかります。


個別のコメント

なお、ご質問について。
「問2では制限字数が600字と短いので要約を省いたのですが、省いてよいものなのでしょうか?問2のまえにある問1が要約と考えて省いてよいのでしょうか?」
→以前にもコメントしましたが、どうしてこのような形式ばかりにこだわるのか、理解できません。要約は、課題文を理解していることを読み手に示し、同時に自分のために、課題文理解のきっかけとして行うものです。しかしそれ以前に、問いに答えることが最優先事項です。どちらの立場に立つか論じるにあたって、必要ならば述べればいいことですし、字数制限によって無理ならば、しなくてもかまわないはずです。今「必要ならば」と言いましたが、必要かどうかは書き手であるあなたにしかわかりません。なぜなら、どのように論を立てるかは、あなた次第だからです。
答案を書く際の優先事項は、大学および試験監督の指示>設問の指示≒課題文の論旨>自分の判断、ですが、この階層構造が理解できるでしょうか? できることを祈ります。


上記コメントを参考にして答案を修正し、再提出して下さい。

西早稲田教育研究所
担当 高田正継

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