添削例(実用論作文文章添削-昇進試験)1

J・H様

・添削本文

添削例(実用論作文文章添削-昇進試験)1 添削例(実用論作文文章添削-昇進試験)2


・添削コメント

全体のコメント

設問の要求に、正しく応えることができていません。第1の理由は、下記コメントX・Y・Zによるものです。それに加え、分量の問題があります。今回答えるべきは、①「係長として期待される役割」②「責任に対する具体的な取り組み対応策」ですが、それを含んだ箇所は地色部分でしかありません。その代わり、地色部分以外=背景説明に、記述の大部分が割かれています。これは本末転倒であって、出題側の期待に応えたことになりません。
 従って改善の方針としては、①②を詳細に述べ、それ以外は必要最低限とすることです。すなわち答案を全面的に書き換えることになりますが、合格水準に達するためには、最低限この作業は必要です。具体的には、まず冒頭で①②の答えを、せいぜい1文、できればひとことで述べ、その理由・効果の検討・具体的な実行を、引き続いて書いていくことです。こうすれば、すべての記述が①②に含まれる事になります。面倒な作業ですが、取り組んでみることをおすすめします。


個別のコメント

□:段落頭は1字下げ。 a:観察の論拠が無く、それに伴う対策について記述がないため、無用です。
論作文は自説(=設問に対する自分の答え)と、その論証で成り立ちます。言い換えると、それ以外の記述は一切無用です。従って自説以外のすべての記述は、自説の論証のために行われますから、自説と結びつかない事柄は、書いてはいけないのです。
もちろん、直接的に自説を論証するのではなく、「自説はAの理由で正しく、AはBによって論証でき、BはCによって…」のように、論証の論証が必要な場合があります。その際にも、すべての記述は他の事柄と、関連づけられているはずです。従って、関連づけがされていない記述は、無用なのです。
b→b':同じ内容の重複です。短い間隔で同じ内容が何度も出てくるのは、文の印象を損ないますし、「書くことがなくて埋め草に入れたんだな」という誤解を、読み手に与えかねません。簡潔を以て事とする論作文の原則から見て、必要のない記述は省くべきなのです。
c:文頭から句点(。)で終わる一文のなかに、含めることが出来る情報には限りがあります。
伝えたい内容が大量で複雑であっても、一文で言いたいことは一つにしなければなりません。違う「言いたいこと」をむやみに一文にまとめると、文意を読み取ることが難しくなります。こうした読み手の「うんざり」「ぐったり」をなるべく避けるよう配慮することは、文章作法の第一歩です。従って記述する内容の優先順位を付け、どうしても伝えなくてはならないこと以外は、思い切って簡潔化することが必要です。どうしてもつないで書きたいのなら、1文に含めることがらは2つまでとし、両者の間をつなぐ適切な言葉を、補わなければなりません。
d:持って回った表現です。簡潔に述べることが出来るにもかかわらず、わざわざ無意味な記述を連ねるのは、文の印象を大きく損ないます。これは、本来書くべき自分の主張や意見、またその論証が足りないために、無用な言葉を入れておいただけ、との印象を読み手に与えかねません。書くべき事柄は必要なだけ書き、無くてもかまわない=文意が変化しない事柄は一切書かない、これは論作文の大原則なのです。
e:同じ言葉の反復です。短い間隔で同じ言葉が何度も出てくるのは、文の印象を損ないます。さらに、簡潔を以て事とする論作文の原則から見て、代名詞など短い言葉で置き換えること、あるいは省くことが出来るならば、そうするべきなのです。
f:文脈がとぎれています。適切なつなぎの言葉(文法用語に言う「接続詞」だけではありません)を用いてくっつけることが必要です。観念(=「これを書こう」という思いつき)は他の観念と関連づけませんと、概念(=他の思いつきと結びつけられた、文中で取り上げたものごと)にはなりませんが、文もこれと同じで、おのおのの文が適切に結びつけられていなければ、文章にはなりません。従って、前の文あるいは段落と、後の文あるいは段落がどのような関係になっているかを、つなぎの言葉を用いて読み手にわかりやすく説明しなくてはならないのです。
例えば、「今日は快晴だ。収入印紙を買う」という2つの文は脈絡がなく、文章とは言えません。しかし、「今日は快晴だ。(先日申請したパスポートを受け取りに行くには都合が良いので、そのための)収入印紙を買う。」ならば、2つの文の関係が見えるようにつながっていますから、文章といえるのです。
このように、文同士、段落同士が適切につながって、一連の流れがあることを「文脈がつながっている」と言いますが、達意の文となるにはこの作業が不可欠なのです。
g:接続語として何を使うかを選択する際には、前後の記述をよく見比べ、それぞれがどのような関係になっているか、またどのような事柄を述べ、主語述語は何かをよく考える必要があります。安易に「そして」「また」や「…が、」を用いるのは、書き手はラクかも知れませんが、読み手は文のスジがつかめず、読解に困難を感じます。
h:bと同。
i:不適切な修辞上の技巧です。堅いことばを一部に用いると、なにやら高尚な文のように感じられるかも知れませんが、それは間違いです。それよりも読み手にとっての読みやすさが優先されます。

X:設問へ対応するための改善です。
Y:論理矛盾。前段で「従業員の満足度を上げる必要がある」とあるからには、ここはその実践策であるべきです。しかしYの内容は一般的な部下指導でしかなく、満足度を上げる方策ではありません。
「従業員の満足度」とは何か、その具体像を示し、その実現に必要な要素と、それを阻む要素を提示し、それらに応じた策を記述することが必要です。
Z:aと同。他との関連づけがありません。

以上です。コメントを参考に、再提出して下さい。


WIE西早稲田教育研究所
高田正継

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