模範文例(実用論作文-昇進試験)1

当社のCSR推進のため、自部署と私は何をすべきか

・第1段落

 本来CSRには、様々な側面があるはずだが、社会で話題に上るのは、地球環境と遵法への配慮が中心である。無論、この2点が重要であることに間違いはない。しかし当社は民間企業である以上、最大のCSRとは、良質で安価な製品の供給を通じて、社会に貢献することであり、これは製造を担う我が部署も同じである。

ポイント

a:1段落は150字! 最低でも120字以下は不可。180字を超えたら、改段すべき。
b:まず最初の段落で、問いへの答え(下線部)をシンプルに答える。
c:冒頭の自説は設問の繰り返しであってはいけない。自分で考えた独自性=意外性が必要。

・第2段落

 なぜならこの2点が達成されたからといって、本業が廃れては本末転倒だからである。従って当社が目指すべきCSRとは、本業を継続発展させても、なお社会の指弾を受けず、その上で社会を含めた幅広い関係者の幸福を、本業を通じて増進させることである。ゆえに自部署が注力すべきは、ひとえに製品と、その製造の改善である。

ポイント

d:何かを主張したら、必ずその理由や論証を述べる。ここでは、第1段落で述べた自説の理由を説明している。
e:最後の一文に注目。「製品と製造の改善」を挙げたなら、第3・6段落のように、あとでその具体的内容を必ず論じること。「言いっぱなし」は禁止。

・第3段落

 それは環境対応で言うなら、負荷が少なくなるよう、既存製品の製造法を改良することである。加えて、新規に環境負荷の少ない製品を開発することで、製品の価値を高め、それを採用して頂くことで、顧客の環境対応に貢献することである。これらを価格の向上を伴わずに実現出来れば、社会の幸福増進への貢献と言える。

ポイント

f:冒頭「それは」に注目。全ての段落、文の頭には、前と関連付ける言葉を必ず付ける。
 付けられないような段落や文は、そもそもそこに書いてはいけない! これが守られないと「文脈とぎれ」になり、実用文として最もやってはいけない禁止事項の1つ。

・第4段落

 具体的な製造法の改善としては、原料パルプの洗浄工程に用いる薬剤を、X社のものにへ変更することが挙げられる。価格はトンあたりY円増となるが、窒素を含まないため、環境負荷を劇的に減らせる。また原料古紙を精選し、脱インク工程を省いた再生紙は、白色率と価格を維持しつつ、古紙配合率を劇的に高めた新製品となる。

ポイント

g:詳細な技術的説明はいらない。このように概略だけで論じることはできるし、専門外のことを長く書かれても、読み手は分からず、うんざりするだけ。

・第5段落

 これらの実践に要するコストは、既存製品の整理によって捻出できる。既存製品の約半数は、昭和時代の開発品であり、今日の環境基準にそぐわない。伝統的製品だけに安定した需要はあるが、それも近年低迷しており、価格面でも海外製品に対抗出来ない。既に代替新製品もあることから、思い切って廃止するのが良策である。

ポイント

h:何かを「したい」「必要だ」だけでは抽象論。社会人の書く文章として失格。
 この段落のように、(前段落で)「したい」「必要だ」と書いたら、それついての実践論を、必ず書かねばならない。

・第6段落

 次に遵法配慮で言うなら、法定禁止物質の使用のような、社にとって致命的な違法行為を、絶対に起こさぬよう具体的手段を講じることである。また古紙配合率に代表される製品データ偽装が、社の信用を根本から損ないかねないことを、社員それぞれが自覚することである。こちらは環境対応以上に重要であり、社会の不幸を阻む貢献と言える。

ポイント

i:上記eへの対応。

・第7段落

 しかし遵法配慮の実践は、かけ声だけではできない。自分以外の誰かがやる、あるいは会社がやると社員が捉えている間は、CSRの実現どころか、さらに社会の指弾を受けるような事態を繰り返しかねず、企業を危うくする。ゆえに私はじめ社員は、業務への無責任がいかに重大な結果につながるか、肝に銘じることが必要である。

ポイント

j:与えられた課題を、自分のこととして論じなければ、組織の一員として無責任な文章になる。

・第8段落

 その前提は、企業の存亡は自分の私生活を直に左右することを、改めて各員が認識することにある。今行おうとした無関心・無責任・怠慢が、やがて家族共々路頭に迷う結果になってはね返るような時代になったことを、我々は知らねばならない。これが実現出来て初めて、当社と当部は、社会的責任を果たしうると確信する。

ポイント

k:「がんばります」「自覚します」だけでは誰も信じない。自分がどのように実践するかの具体策や、この段落のように、どこまで事態を深刻に受け止めているかまでを書かねば、単なるかけ声として無意味になる。


・解説

ポイントのまとめ

●できるだけ文の前で「最も言いたい事」=自説を記す。この自説を述べた上で、どうしてそれが言えるのか(正当であるか)、どのように実践していくのか、こうした説明・論証を、自説に引き続いて述べていく。
●自説は1つだけ、しかも可能な限り短くする。そうしないと、何を主張したいのか読み手は分からない。ゆえに自説はたったひとこと、長くても主部-述部をそれぞれ1つだけ持つ、1文でまとめなくてはならない。
●150字を1段落として、文章を構成する。言い換えるなら、150字に足りない段落は内容不足。その字数が埋まらないからと言って、回りくどい言い回しで埋めると読み手のうんざり感をさそう。
●1段落が150字である事がわかれば、文章を何段落構成にすればよいかもわかる。例えば総字数が1200字なら、8段落構成になる。このうち1~2段落を、自説とその補足説明、あるいはどのように論証していくかの舞台設定で用る。残り6~7段落は、自説の論証や具体的実践策に用いる。
●前の文の主部または述部のいずれも扱わない文を書く際には、必ず前後がどうつながるかを示す、つなぎの言葉を入れる。これは段落も同様。この作業は、書き手の頭の中にある(もやもやした)話を整理し、誰でも読んでわかるような構造へと、変換していくことでもある。つながらないような話は、そこに書いてはいけないということを意味する。
●読み手も分かり切っていること、うんざりさせることは、一切書かない。

最も重要なこと

事実を集め、読み手が退屈しないだけの内容を、与えられた字数が埋まるだけの量で、考えること。「字数が埋まらない」と考えているうちは、何をやってもダメな文章にしかならない。
言葉の引き延ばし、無駄な表現の挿入、無意味な「かっこよさそうな言葉」、これらがあればあるほど、文章はダメになる。


※提供文例には、ポイント・解説の代わりに、「自筆の手引き」が付きます。

・メンテナンスは終了しました。 (2017/8/15)  ≫詳細