添削例(ビジネス文章講座)2

M・S様

・添削本文

添削例(ビジネス文章講座)1


・添削コメント

全体のコメント

●残念ながら、前回のコメントに沿った改善が十分にできていません。
 今回の課題は、ご自身の業務を紹介していただくことでした。にもかかわらず、提出していただいた答案では、「コストダウン追求」等の課題についての取り組みが中心になってしまっています。確かに前回のコメントBで、重点的な取り組みや問題点のことにも言及しましたが、それでも調達本部でご自身が担当されている具体的な業務内容の紹介を中心に据えることの方が重要です。
 また、全社的な紹介を削っていただいた結果、次の問題が生じています。
・無用な記述を省いた結果、字数が大幅に減少しました。一般的に、制限の9割以下の字数しかない答案は、採点対象外=0点となる可能性があります。なぜなら、与えられた課題に対する考察が、不十分と判断されるからです。しかし字数が足りないからと言って、回りくどい言い回しや無駄な修飾で水増しするのは、それだけで大きな減点になるばかりか、出題側の期待に応えないことに変わりはありませんから、やはり採点対象外となります。
 そもそも論作文は、自説(=設問に対する自分の答え)と、その論証で成り立ちます。自説はたった1つだけなのが原則ですが、その正しさ(必要性・実現可能性・効果の説明)は、できるだけ多くの視点から説明した方が、説得力が増すことは言うまでもありません。従って字数が少ないということは、論証のための視点が、足りなかったということなのです。
 従ってスペースがあまったなら、重要度に応じて扱う視点の数を増し、それによって字数を増やす必要があります。これは答案の中ですでに述べているもの以外でなければ、やはり同じ事の繰り返しとして、文の評価を大幅に下げます。なぜならそれは、出題側が期待するだけの事柄を、考えることができなかったという表明にほかならないからです。従ってそのようなことは書けば書くほど、不合格の確率を高めることになるのです。
 ですからこのような内容的な不足がないよう、書く前の思考・情報の整理を十分行うと共に、自説が明確になるまで十分考え抜くよう、お願いします。
●再提出ですので、本来ならば当方で不足している部分を補うべきなのですが、ご担当の業務内容は当方にはわかりかねますので、具体的な記述を補うことができません。このような事態を避けるために、次回からの提出では、必ず課題の指示に従うようにして下さい。
 以下では細かい修辞上の指摘もいたしますが、これらの点を修正しただけでは合格圏に達することはありませんので、さらなる書き直しをされる場合は、ご自身の業務紹介に重点をおいた抜本的な修正が必要になります。


個別のコメント

a:記述を丁寧にして下さい。
b:持って回った表現です。詳細は前回のコメントを参照して下さい。
c:文意不通です。今回は赤字によって修正を行いましたが、修正後の文意が意図していたものと違うならば、ご自分で再修正を行って下さい。
X:まずこの部分で、調達本部で行われている業務を具体的に紹介して下さい。
A:パソコン操作の問題かとは思いますが、段落の初めは1文字空けて下さい。
d: 間違いとまでは言い切れませんが、ひらがなとすべきです。詳細は前回のコメントを参照して下さい。
B:何を保管するのか、明確にして下さい。
e:原文のままですと、この言葉が何を指すのか曖昧になっています。この言葉について、概念規定を行って下さい。様々な意味に取りうることばを論作文で用いる際、必ず「これはこういう意味で使っているのであるぞ」と、読み手に説明しておかなくてはなりません。そうでないと、読んでも意味がわからないからです。深読みを読み手に強要するのは、論作文としてふさわしくありません。
 用いた言葉について、読み手へ説明することを「概念規定」と言いますが、幅広い意味を持つことばの意味を限定し、具体的に何を指しているのかを説明することは、論旨明快な論作文を書くためには不可欠です。「いや、自分ではわかっているのだ」ということかもしれませんが、論作文では、「書かれていないことは、考えなかったと同じ」なのです。悪いたとえで恐縮ですが、文章は「サルにもわかるように」書く必要があります。自分と読み手が、共通の土俵に立っていることなど決してないということを、文章を書く心構えとして持っておくべきです。
C:これも修辞上の問題に属することかもしれませんが、「~していく」という書き方では、「これからどうするか」という将来の課題として読み手に受け取られる可能性があり、現在のご自身の業務を紹介していただくという今回の課題の要求にそぐいません。
f:論理の飛躍です。この前の部分から、この後ろの部分がどうして言えるのか、読み手には理解できません。
 「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉がありますが、「風が吹く」と「桶屋が儲かる」は、直接つながりません。「風が吹く」→「砂ぼこりが舞って失明する人が増える」→「(江戸時代では、そのような人は)三味線弾きになって生活する」→「三味線の需要が増える」→「三味線の材料である猫の毛皮が払底する」→「捕らえられる猫が増える」→「ネズミが増える」→「ネズミにかじられてダメになる桶が増える」、ここまで来てやっと「桶屋が儲かる」につながるのです。
 前後の論理が正しくつながるよう、中間のものごとを付け加えて下さい。

以上です。コメントを参考に、再提出して下さい。


WIE西早稲田教育研究所
柿崎 英

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