コロナ後への対応

 

課題

コロナ後への対応

 社内外の環境変化を踏まえ、それに対して組織が取り組むべき課題は何か、また、課題を解決するための自分の役割について


文例案

 当社を取り巻く環境変化のうち、最大のものは新型コロナ感染症による、管理物件の質・量両面での変化である。しかもこれは、DXの普及による勤務地選択の自由拡大、少子化による労働不足対策といった長期的な日本社会の変化と連動している。したがって、コロナ禍が克服されたとしても、この趨勢は変わらない。

 量的変化として顕著なのは、外出自粛の影響で飲食店を中心に、倒産・廃業する店舗が増加していることである。また、業務を継続している事業所も、テレワークの導入などよって取捨人員を削減している。このため、事務所スペースに余裕が生じている。この変化によって、店舗・事務所を借りる事業者は減少し、一事業者あたりの部屋数・床面積も縮小している。

 質的変化の面では、ネット環境の整備が今まで以上に求めらる。また、宅配ポストの設置など宅配便などの利用増への対応も必要になる。さらに配達業者が頻繁に出入りするようになれば、より確実なセキュリティ対策の重要性も増すだろう。こうした質的変化への対応は、事務所向け物件だけではなく、住宅向け物件でも基本的に同じである。

 こうした環境変化の影響は、不動産市場の変化にとどまらず、当社の勤務形態にも及ぶ。テレワークの推進や、DX化による対面業務の削減などが、必要になっている。この社内改革が遅れれば、不動産市場の変化に対応できなくなり、当社の存亡に拘わる事態になりかねない。

 これらに対して当社のとるべき対応は、量的な需要減少の中でも利益を挙げらるよう、業務の効率化を進めることである。同時に、質的な変化に対応できる新しい業務形態ととサービスを開発することで、新規顧客の獲得をすることである、

 私の所属するグループ経営戦略部として最優先で取り組むべき課題は、私が担当する4社の一つである、○○○業務の子会社の業績改善である。この会社は、ほとんど収益を生み出せない状態で、現在のままでは市場の変化に対応できず、赤字転落は必至である。さらに、最悪の場合には倒産・廃業の恐れもある。そのような事態になれば、当社グループの金銭的な損失だけにとどまらず、全社的な信用の失墜につながる。

 この問題に関しては、当社の側にも原因の一端がある。親会社の子会社に対する発注に明確なルールはなく、他業者と競争させて市場原理で価格を抑制する。その一方で、親会社の担当が自己の目標達成のために、市場価格を大きく下回る価格で業務を発注する傾向がある。

 一方、子会社の側にも、問題は多い。収支管理が貧弱で、データを示して親会社と交渉することができない。さらにもともと労働集約型産業でかつ低価格が一般化している業界であり、近年の最低賃金引き上げや、労働力不足による採用コスト増が大きな負担になっている。さらに赤字になっても最終的に親会社が救済してくれるだろうと言った、甘えと言うべき意識も見られる。

 これに対して、当社としても単価の増額改定に応じているが、実際の業務から半年遅れであり、また金額的にも十分とは言えない。グループ全体として連結経営を考え、全体最適を目指す方向で抜本的な改革が必要である。

 まず、親会社と子会社との契約ルールを明確化することである。具体的には現在のどんぶり勘定を廃し、業務ごとの基準単価を決めるなどして、価格の適正化を図る。また発注時期と納期などに関しても、合理的な基準を定める。このことによって、親会社・子会社の担当者間で事案ごとに繰り返されてきた、不毛な価格交渉を解消できる。無理な価格・条件で業務をさせ、後で増額改定で調整するよりも、最終的にコストは削減されるはずである。

 さらに、業務内容に踏み込んだ改革も必要である。具体的には、現在各社それぞれに設置してる一般管理部門の統合や、親会社・子会社で同じような機能がある品質管理機能の統一が挙げられる。今後DXの進捗を考えれば、グループ各社ごとの業務特性や伝統・慣行を織り込んで、かつ効率的な制度が実現できる。

 最終的には、この子会社に当グループ全体の中で適切な役割を担ってもらい、同時に収益を上げてもらう。このことで、ステークスホルダーに対し付加価値を提供し事業を継続できるようにする。

 私は、これまでこの子会社との協議事務局をつとめてきた。そして、事業再建計画の作成に携わるとともに、日常的な計数管理の徹底や受注基準の設定に関与してきた。今後もこうした役割を担うとともに、子会社単体の業務改善ではなく、当社との業務分担見直しなど、グループ全体の業務最適化を進めていく。これまでの経験を整理して、グループ各社で共有できるようにして、業務改革の素案を提起していきたい。

 次に、当社内部の業務改革は、これまで議論されながらも実施されないできた諸施策が、緊急に必要になっている。テレーワークやDXの推進は、これまでその必要性は認識されてきた。DXによる業務効率化や、テレワークによる交通費や事務所地代の節減は、生産性向上に寄与する。さらに在宅勤務の方が業務に集中でき、個々人の作業効率が高まる傾向がある。

 新型コロナウィルス感染症対策として、これらの課題に取りくまなければならない。感染を拡大させないための3密防止には、テレワークは必至である。それに伴いテレビ会議や勤怠管理には、DXが有効である。現在これらの導入は試行錯誤の段階であるが、急速に進むだろう。

 この中で私の役割は、グループ各社の実施状況を整理して、情報共有を行うことである。先行して新しい業務システムを導入した体験は、同じ失敗を避けられるため、後発組にとっては貴重である。具体的に私のすべきことは、担当する子会社の取り組みを案件ごとに整理して、各社に提供することである。そして中長期的には、これらの情報を整理することで、グループ全体の標準的な業務形態を提案していきたい。(2400字)